ずっと昔、ある知人の家に遊びに行った。
彼女は恋人と同棲中。
彼女と彼女の恋人と三人でお話ししながらご飯をいただいていた時のこと。
ステレオから音楽がずっと流れていた。
はじめは楽しくお話ししていたのだが、どこでどうなったか二人が同棲について諍いを始めたのだ。
「じゃ、もう別れるしかないね」とどちらかが言った。ちょうど流れてきたのがショパンの『別れの曲』。
ど、どうしよう?!
こんなタイミングで…
なんとかしなきゃ。
へっぽこ「あ、この曲は練習曲なんだよ、練習曲!『12のエチュード Op.10-3』!」
彼女「ん?!いまそんな蘊蓄いらないから!」
へっぽこ「…………」
『別れの曲』というネーミングはショパン本人によるものではないという。日本に入ってきたときに付けられたものだとか。
「こんなに美しい旋律はもう書けないかもしれない」とショパン本人が言っていたというエピソードも残っている。
ショパンは自分の生徒やピアノ愛好家たちがショパンの曲を弾くための練習曲を結構作っている。
ちなみにツェルニーの練習曲はベートーヴェンの曲を弾けるようになるためにベートーヴェンの弟子であったツェルニーが作ったと言われている。
そういえば羽生結弦が今回のオリンピック(「参加することに意義がある」ってすっかり聞かなくなった昨今であるよ)でショートプログラムで使ったのもショパン。バラードの1番。
まあ時間制限があるから仕方がないのだろうけど、オリジナルの曲をところどころ削って編集している。聴いていると繋ぎ目が来るたびに「うっ」となる。羽生結弦の演技は繋ぎ目はなかったんだけどね。