筆箱から無意識に取り出したシャープペンシルを使っていてハッとした。
あれ?これ無くしたやつじゃん?!
そう、職場で無くしてショボンとした記憶がある。心当たりを探したが見当たらなかったのだ。
チャックのついた小物入れを筆箱として使っている。
チャックをおもむろに開け、中を覗いては「やっぱないよな」と思ったことを覚えている。
出先で文房具売り場に出くわすと「無くしちゃったから新しいシャーペン買おうかな」と物色しては「やっぱいっか。もう一本あるし」と思い直していた。
そして今日、奇しくも再会した。
無くしたはずのシャープペンと。
しげしげと見つめてしまう。
真新しい訳でもない、使っていた形跡がある。
ご親切な超能力保持者の方がスヤスヤ眠っている間に筆箱にそっと戻しておいてくれたのだろうか。
いや、恐らくそんな僥倖にあやかるほどの善行を積んできてはいないだろう。
ならば自分で帰って来たのだろうか、「ただいま」とも言わずに。
いやいや。
もしかして「帰巣本能機能付き」だったのだろうか。
パッケージに書いてあったのを読まずに食べた、じゃなかった、読まずに捨てた可能性もある。
でもそんなハイスペックなシャープペンが500円界隈で買えるはずもない。
さもなくばわたしがパラレルワールドに入ったか…
それとも後日シャープペンシルを見つけたことをわたしが忘れているのか。
まあ、この線がイチバンあやしいな。