横尾忠則現代美術館で開催中の「横尾忠則の冥土旅行」を見に新幹線で神戸に行く。
以前にも一度訪れたことがあるが、それはそれは楽しかった。
今回の展覧会は神戸の後はニューヨークを巡回するらしい。ニューヨークよりは近いので神戸に行くことにした。
11時を少し過ぎた頃、新神戸に到着。
まず目指すは美術館。
王子公園の見当らしい。
前回は宿泊先の近くからバスに乗って行った。
yahoo!の交通案内によると、新神戸の駅から原田通沿いを歩いて21分らしい。
新幹線で3時間近く座っていたので歩くことにする。
強い日差しと土地勘の無さで多少難儀したがようやくたどり着く。
美術館に併設されている「ぱんだカフェ」で腹ごしらえをする。
注文した料理が来る。食器の柄をよくよく見ると小さな髑髏がたくさんいる。カレーのお皿にも紅茶のカップにもソーサーにも。横尾さん絡みの食器である。人知れずニヤつく。
食事を終え、展示を観る。初っ端の作品『星の子』からもう激しく魅せられる。
横尾さんの絵が発するパワーは宇宙レベル。
ぱーっと宇宙空間に広がって繋がれるくらいのパワーだ。
すごいなすごいな。
横尾さんの絵を生で見るのは本当に快感だ。楽しくてワクワクして仕方なくなる。この時間を永遠に続けたくなる。
生=死というテーマに横尾さんの見た夢の内容、幼少時代や生まれる前のノスタルジーを絡めながら描かれているような気がする。生まれる前から死んだ後までが同じものになっている。生と死、というように分けて考える意味がわからなくなる。
横尾さんの絵の構図は一見荒唐無稽に見えるかも知れないが、リアルなのである。見たものを描いているのだろう。
気難しさや辛気臭さがない。
清々しい突き抜けた味わいが魅力だ。いや、それ以上かもしれない。無心で見ていられる。細胞全体魂全体が無邪気に喜んでいる。深呼吸して絵を吸いたくなる。
横尾さんの絵を見ておけばこの世以外のところに行った時に困らないかもしれない。
横尾さんを充分堪能してから新神戸の駅まで戻り布引の滝へ。
新幹線の駅の真裏に山がある。山の中を少し行くと雌滝にたどり着く。そこからまたちょっと行くと雄滝。
上から落ちる様や滝壺を水圧で生まれた風を顔に受けながらひたすら眺め、滝音を浴びる。
横尾さんと滝が心身に溜まった芥のようなものを落としてくれたのだろうか。
ここひと月くらい酷い肌荒れに見舞われていたのが、翌日にはウソのようにツルツルになっていた。腰痛も緩和していた。
霊験あらたか。
ありがたい。