マンモを受けにいく。
市の検診の一環である。
連休はインドアライフを満喫しているので、運動が不足する。そこで検診の病院までテクテク行くことにした。
この方角だろう、とアバウトに見当をつけて歩き始める。途中、登校中の中学生にバラバラとすれ違った。
歩くことほぼ一時間。どうにか到着。
総合受付を済ませたあとマンモの受付をする。
受付用紙には技師さんの性別を選ぶ項目があった。
女性技師だと待ち時間が長い、というので男性技師でもオッケイにしたら瞬く間に順番が来た。
担当男性技師さんがにこやかに自己紹介や説明をする。もーう隅から隅まで爽やかにするぞ、という意気込みが伝わってくる。
セクハラ騒動噴出が止まらぬご時世、特に注意するように言われているのだろう。
こちらも宝塚の男役、とまではいかないがなるべく中性的に爽やかに振る舞おうとするが気づくと不思議系キャラになっていることがある。
マンモで上手く撮影する態勢を作るのは技師と受け手の共同作業である。
「僕の顔の方をしっかり見てください。僕の顔がタイプじゃなければ目を逸らしてもかまいませんので」
おもしろかったのでしばらく笑っていた。
技師さんも笑っていた。
この人はこの自虐ネタを毎回かましているのだろうか、それとも相手を見てのことなのだろうか。まあ面白い分にはいい。
そのあとも態勢作りが続いた。
技師さんは胸を持ち上げたり引っ張ったり。
「マンモって結構重労働ですねぇ」
と言ったら、技師さんは
「いやー本当はそんな風に見せてはいけないんでしょうが」
とはにかんだ。
いや、重労働だよ。
人間の部位は結構重いからね。
マンモの機械のアームのところに「Mermaid」と書いてあった。機械の名前らしい。
こうしてマンモはつつがなく終了。
次は触診。
名前が呼ばれ診察室に入る。
ロマンスグレーの紳士の触診だった。柔らかい声とテンションの低さが印象的だった。連休の狭間の月曜日だからかな、とも思ったがまあウキウキしていても別の意味で却って怪しまれるだろう。なかなか神経を使う職種だ。
裸族の国だったらこんな窮屈なこともなかったのかもしれない。
文明国は何かと大変だ。