へっぽこるみ日記。

毎日毎日日が暮れる。半期に一度の即興ピアニストのつれづれ。

脳内日記 その九。

これまで毎日着替るものといえば洋服や下着だけだった。

スマホの「おすすめアプリ」で『ヴォイスパレット』というのを見つけた。

「声だって毎日着替えたい♡」というお客様からのご要望にお応えして開発されたアプリらしい。

さっそくダウンロードした。

 

1.声質を選ぶ(一部アプリ内課金対象)

➡︎「セキセイインコ」をタップ。

2.高さを選ぶ(0を中心に±50)

➡︎「『セキセイインコ』なら+24くらいがおススメ」と書いてあったのでとりあえず「+24」に設定。

3.「この設定でよろしいですか」と確認画面が出るので「OK」をタップ。

4.マイクのアイコンが出るので長押しすると「そのまま指を離さないでください」と表示が出る。

5.15秒ほどすると「通信が完了しました。24時間有効です。」との表示が出る。

 

こんな手順でやってみると、見事にセキセイインコの声に変わっていた。24時間持続するらしい。

早速セキセイインコのピコちゃんの家へと向かった。わたしの家からは歩いて3分くらいのところにあるマンションの最上階だ。マンションにはエレベーターが設置されているがピコちゃんは「飛んじゃった方が早いんだよね」と言ってほとんど使わない。わたしは飛べないのでエレベーターに乗ってピコちゃんの家に行った。

インターホンを押すとピコちゃんが出てきた。

「おはよ」

「おはよ。あれ?なんか声がいつもと違うよ」

「うん。『ヴォイスパレット』ってアプリ知ってる?」

「うーん…知らないなぁ。まあちょっと上がって行きなさいよ」

「うん、ありがと」

ピコちゃんがお茶を出してくれた。

お茶受けは小松菜クッキーだった。

「で、どんな感じなの、その『ヴォイスパレット』ってのは?」

「えっとね、声の種類と高さを選んで画面に指を当てれば声が変わるの。24時間だけどね」

「ちなみにそれ、なんの声なの?」

「え、わからない??セキセイインコだよ」

「えーそうなのぉ??なんかちがうよそれ」

「そっかぁ。セキセイインコのピコちゃんがそう言うなら違うんだろね」

「そう、セキセイインコならもっとヴィヴラートを細かくきかせなくちゃ。それにセキセイインコの声って高そうでいて結構落ち着いたトーンなんだよ」

「なるほどねぇ…さすがね」

「まあね。一応これでもセキセイインコなもので。えへへ。ほかにどんな声があるの?」

「いろいろあるよ。」

「ふーん。『競技が終わった直後のスポーツ選手のインタヴュー声』かぁ」

「あ、それね。人気ランキングの上位のやつね。有料なんだよね」

「そうなんだ。あのどこから出してるか分からないような独特のテンションの高い声よね。まあセキセイインコもテンション高いからひとのこといえないけど。」

「『宇宙人声』!これどんなの?」

「ピコちゃんやってみなよ」

「うん、やってみる」

宇宙人声をタップして高さを決めてマイクのアイコンを長押しして…

「ピコちゃんの指細いからしっかりタップしてね」

「うん、わかった…おっ、通信が完了したよ!変わったかな、声?」

「うーん、ほんの少し変わったようないつもとおんなじような…」

「そだね、自分でもそんなによくわかんないや。セキセイインコの声って宇宙人の声と似てるってママが言ってたよ」

「そうなんだぁ!ピコちゃんのママって宇宙人の声聞いたことあるの?」

「うん。ママの親戚に宇宙人がいるんだ。時々円盤に乗ってうちに遊びにくるよ。」

「円盤で?!どこに置いておくの、円盤?」

「あれね、伸縮自在なんだよ。バッグやポケットに入れてるよ。失くしても戻ってくるから安心だし。酔っ払ってどこかに落とした時も円盤のほうが先に家に帰ってたってさ。」

「へぇーいいね!欲しいな、円盤」

「いいよね。でも宇宙人じゃないと免許取れないんだって」

「免許いるんだ」

「うん。教習所があるんだって。水金地火木土天冥海それぞれの星の基本情報は最低限の覚えていなくちゃいけないらしいから」

「なるほど大変そうね」

「そうでもないみたいよ、宇宙人頭いい人多いから」

「ピコちゃんちはセキセイインコとか宇宙人とかカピバラとか三葉虫とかいろんな親戚がいていいね。うちなんか人間ばっかでつまんないよ」

「うふふ、いいでしょ。今度パパのお兄さんの子どもがティラノサウルスと結婚することになってね」

「すごーい!まだいたんだ、ティラノサウルス!!」

「いるんだね。だって三葉虫だってまだいるんだもん。次元を超えたらなんだっているんじゃないかな」

「そだね」

「あれ、みてみて!」

「なに?」

茶柱が立ってるよ!」

「ピコちゃんいいことあるよきっと!」

「だといいねぇ!ティーバッグで茶柱が立つなんてそうそうないもんね」

「うん、ないない!」