へっぽこるみ日記。

毎日毎日日が暮れる。半期に一度の即興ピアニストのつれづれ。

さよならの季節。

1996年の開業時に「2年で撤退するよ」とまことしやかに囁かれていた府中伊勢丹も今年で22年。

「家から歩いて5分くらいのところに伊勢丹があるんだ」となんとなく自慢げに言えた時代がそろそろ終わるらしい。

来年の9月で閉店になるという。

ショックで涙腺が緩む。

まだ信じられない。

フェイクニュースならいいのに。

開業当時から馴染んでいた伊勢丹

公務員だった頃、給料をもらえるようになって府中伊勢丹で好きな服を見つけては買っていた。そうやって仕事のやりきれなさを手なずけていた。

今でも仕事で疲れた時やプライベートでも伊勢丹で買い物をしたり、店内を見て歩いたりするとなんかいい気分になる。

ああ、こんなものがあるのか。

ああ、こんな美味しそうなものがあるのか。

ああ、こんなおしゃれなものがあるのか。

そんな発見も伊勢丹ならではだった。

ちょっとスカし雰囲気を出すところも「ったくしょうがないなぁ〜もーう伊勢丹なんだから、フフフ」と思ってみたりした。

おしゃれさとは無縁の野暮な府中に新しい風を吹き込んだことは間違いない。よくこんなところに開店しようと思ったよな、伊勢丹!と当初は誰もが口を揃えて言っていた。それがもう22年…

伊勢丹がなくなってしまったらこの街はまた形状記憶のように元の野暮な姿に戻ってしまうだろうか。「あの街には伊勢丹を残しておこう」と思わせなかった何かがあるのだろうか。まあ立地的には電車に乗れば立川伊勢丹にも新宿伊勢丹にも行ける。でもそうじゃない。府中伊勢丹は府中伊勢丹になってきたんだ、22年の年月をかけて。そして客もそんな伊勢丹を作ってきたんだ。

まあそんな心情的なものと経営的なものは今や相容れないものとなってきているのかもしれない。そうならば仕方ない。けれども悲しい。

伊勢丹撤退後、例によってビックカメラヨドバシカメラが入ってしまうのだろうか。ドン・キホーテが来てしまうのだろうか(ちなみにドンキのサーカス小屋のような風情の一号店は府中市内にある)。

伊勢丹府中店の年間売り上げ額は149億円らしい。同じく閉店が報道された相模原店に関してはそれ以上の額でしかも今年度の収益はさらに上回る予想が出されているという。

三越と合併したことによりグループ全体の収益が下がり、その穴埋めが今回の相模原店、府中店および新潟店の閉店になったらしい。

浦和はどうなんだ?静岡は??

ネット通販が隆盛を極めている横で販売不況は深刻化しているらしい。店で商品を手にとって買う、という文化が廃れつつある過程なのかもしれない。

紙の辞書を使っていた頃は、調べたい言葉だけでなくその周辺の他の言葉が目に入って「ああこんな言葉もあるんだ」と思ったり、ページをめくっている最中に思わぬ言葉に出くわしたり…という出会いがあったのが、スマホの辞書アプリに移行してから寄り道なしで求めている情報にダイレクトに向かうようになった。これと同じようなことが物を買うという行為にも起きているのだろうか。

だとしたらあまりにもさみしい。

こんな風に思うのは古い人間だけなのだろうか。

古くてもいい。やっぱりさみしい。