昼間、家の近所を歩いていた。
後ろからマウンテンバイクのような自転車で来た男がやおら止まってこちらを振り返った。
ぼちぼちオシャレなカジュアルを着こなしていた。
年の頃は三十後半から四十くらいだろうか。
男「アルバイト紹介してるんですけど」
へっぽこ「いいです」
男「困ってることとかないですか」
へっぽこ「ええ」
男は一瞬去ろうとしたがまたこちらを振り返り
「今度食事でも」
と言ってきた。
「いやぁ…いいです」
と断った。
一体何だったんだろうか。
ん〜…
熟女モノのAVの勧誘くらいしか思いつかない。
だとしたら彼は監督か俳優か。
確かにそれっぽかったな、アイツ。
何となくそんな感じがしてきた。
もしそうだったら、そして自分の出演作が売れて売れっ子女優になってインタビューとか受けて「どうやってこの業界に入ったんですか」とか聞かれた時に「府中の路上を平日に白昼堂々と伊勢丹で買った千葉産ピーナッツの入った袋を振り回しながら歩いていた時にスカウトされたんです」とか言ったりするのだろうか。
なんだかなぁ…
…とか言ってる場合じゃないな。
事件性がないといいけれど。