インフルエンサーというのはインフルエンザを撒き散らす人のことかとつい最近まで思っていた。
それにしてもなぜこの時期毎年のようにインフルエンザが流行るのだろう。
製薬会社が夜な夜なインフルエンザ菌を撒いてるのではないかと思うくらいだ。
インフルエンザにはこれまで何回かかかったことがある。
その中には思い出深いインフルエンザがある。
何年か前にかかったインフルエンザはなかなか面白かった。
体の中がモワモワして変だな、と思ってかかりつけの病院に行った。
熱も平熱だったし派手な症状もなかったので医者も「インフルエンザではないと思いますよ」とのことで診察が終わりそうになったのだが「でも一応調べてもらえますか」とこちらからお願いして、鼻の奥の粘膜を調べる例のあの検査をした。
そしたらなんとインフルエンザだったのだ。
医者も「いやーこんなの初めてだなぁ…いやー」と盛んに感じ入っていた。
体もそんなにキツくないのだがなんてったってインフルエンザなので何日か仕事を休むことになった。思いがけず連休になった。朝も寝床でグウグウグウ、たのしいな、たのしいな…と妖怪さながらの数日を過ごした。
それよりずっと前にインフルエンザになった時のこと。
熱が39度近く出た。
なのに辛いどころかものすごく幸せだった。
自分の周りが全てが明るく輝いてみえるのだ。
一点の曇りもない感覚に満たされた。
なんてクリアーなのだろう。
風景も音も全てがパァーッと開けて神々しく五感に入ってきた。
もしかしたら第七感くらいまであったかもしれない。
もうとにかく何もかもが美しすぎる。
ああ、ずっとこのままでいたい…
うっとりしながら病院の待合室で2時間くらい順番を待っていた。
病院の帰りもそれはそれは爽快でたまらなかった。
空が青くてどこまでも綺麗だぞー
すべてがきらきら光りに包まれてるぞー
What a wonderful world!!!
両手を広げてダダダーっと走りたい気分だった。
家に帰って軽い食事をしてから薬を飲んだ。
熱が下がるとともにもとの感覚に戻ってしまった。
心底がっかりした。
人間の中にはいろんな感覚が眠っているんだなと思った。
それが何かのきっかけで覚醒するのだろう。
インフルエンザウイルスが脳に入ったら大変なことになるなど危険な側面ももちろんあるのだが人間の神秘に触れることもできるのかもしれない。