rumipianoのへっぽこるみ日記。

即興ピアニストrumipiano(岡本留美)のブログです。日々のつれづれ、脳内日記(創作日記)、演奏会情報などを載せています。YouTube公開中(『youtube rumipiano』で検索)。ホームページは「rumipiano ホームページ」で検索するとご覧いただけます。お問い合わせはrumipianosokkyo@gmail.comまで。

忘れ得ぬ思い出。

もう随分前のこと。

自分の部屋のベッドですやすや眠っていた。

あれは晩夏だったろうか。

部屋はマンションの共用廊下に面していた。

廊下側に格子のついた小さい窓がある。

蒸し暑かったので窓を細く開けて寝ていた。10センチはなかったように記憶している。

網戸は閉めていた。

ベッドは窓に向かって縦に置かれていた。

そして窓の方に足を向けて寝ていた。

 

足元にふと違和感があり目が覚めた。

何かがいた。

ひぇえ。

恐る恐る確かめるとネコだった。

うちにネコなどいない。

「ヤバい、インコがいる!こいつがインコを襲うかもしれない!!」

とっさに思った。

パニックになった。

別の部屋で寝ていた家族を起こした。

「ネ、ネコがいるんだけど!インコどうしようインコどうしようインコどうしようインコ…」

尋常ではない私の様子を見た母が、ネコを促し玄関ドアから廊下に逃がそうとした。けれどもネコはUターンしてまたうちの中に入ろうとした。

「インコがいるからインコがいるからインコインコインコ…」

再びパニックになった。

そんな私を横目に母は冷静にネコを追い出した。

それからしばらくは鼓動が収まらずなかなか寝付けなかった。

朝の四時くらいだったと思う。

 

明くる日の夜。

やはり蒸し暑かったので、昨夜のように窓を細く開けてすやすや寝ていた。

するとまた足元に違和感があった。

また昨夜のネコが来ていた。

もうパニックにはならなかった。

「どっからきたの?」

問いかけてみるも答えはない。

玄関ドアから追い出そうとネコに近づくと、窓枠にトンと乗って窓と網戸の隙間からすり抜けていった。

なるほど昨夜もそうやってこの部屋に入ってきたんだねキミは…

よくみるとグレーのきれいなネコだった。

 

その日を境に再び侵入してくることはなかった。

どこの家のネコだったのだろう。

今となっては楽しい思い出である。