昨日買ってきた『絶望名人カフカの人生論』(頭木弘樹 編訳 新潮文庫)。
あっという間に読み終える。
ネガティブ王子のカフカの珠玉のお言葉満載だ。
「バルザックの散歩用ステッキの握りには、『私はあらゆる困難を打ち砕く』と刻まれていたという。ぼくの杖には、『あらゆる困難がぼくを打ち砕く』とある。共通しているのは、『あらゆる』というところだけだ。」
あらゆる、だけね。笑っちゃいけないが笑っちゃう。
「ミルクのコップを口のところに持ちあげるのさえ怖くなります。そのコップが、目の前で砕け散り、破片が顔に飛んでくることも、起きないとは限らないからです。」
なるほどぉ。確かに物体が崩れないで形を保っているのは奇跡的だからね。
「ずいぶん遠くまで歩きました。五時間ほど、ひとりで。それでも孤独さが足りない。まったく人通りのない谷間なのですが、それでもさびしさが足りない」
理想の孤独加減、さびしさ加減があるのはわかるなぁ。
「ちょっとした散歩をしただけで、ほとんど三日間というもの、疲れのために何もできませんでした」
ああ、そうだったのか。不安と散歩をしてたのかもしれないね。
…なんて読み進めているうちにあっという間に読了。
ポジティブワードに塗れたものよりもはるかに読みやすい。そしてホッとする。
カフカの小説をまとめ買いしてしまった。
しばらくはカフカな時間を過ごすことにしよう。