rumipianoのへっぽこるみ日記。

即興ピアニストrumipiano(岡本留美)のブログです。日々のつれづれ、脳内日記(創作日記)、演奏会情報などを載せています。YouTube公開中(『youtube rumipiano』で検索)。ホームページは「rumipiano ホームページ」で検索するとご覧いただけます。お問い合わせはrumipianosokkyo@gmail.comまで。

つなぎ目。

他の人のからだをそんなにじっくりとながめたことはない、いや、あったかもしれないが、つなぎ目を意識してながめたことはない。

 

光線の具合でつなぎ目のようなものが見えることがある。

手首から20センチほど肘方面にあがったところになんとなくある。右にも左にも。

それと、これはもっとクリアーに見えるのだが、胸の真ん中から下っておへそをすこしいったところまでにすーっと線が入っている。黒とかそんなはっきりした色ではない。色はなんともいえないけれど、筋のようにすーっと通っている。

虎の皮の敷物のような人型をアロンアルファか何かでくっつけてできたのが私なのかもしれない。内臓も適当にお弁当をつめるように詰めて、脳も粘土とかお味噌とか味の素とかなんかを混ぜて固めたものに適当に筋をつけてぽんといれたのかもしれない。

誰がアロンアルファでくっつけたんだろう?

うる覚え。

武蔵小金井駅前のホールに落語を聴きに行く。

 

柳亭市馬の美声を久々に、そしてついに柳家喬太郎をナマで聴けるぞと浮かれて出かけた。

会場まで武蔵野線と中央線で行く。

いいお天気だ。

 

13時の開演。

ロビーで「おや?」と思う。

出演者は瀧川鯉昇桂雀々、そして柳亭市馬だ。

喬太郎がいない。キョンキョンは?

「急病で鯉昇に変わったのかな?」と一瞬頭をよぎるがそんな急告はどこにも出ていない。

「ん?」

!!…そうだ、鯉昇と市馬が出るから行きたいと思ってチケットを取ったんだった!鯉昇をいつかナマで聴きたいと思ったところこの公演を見つけたのであったことをようやく思い出した。

うろ覚えもいいところだ。

うろ覚え…この言葉も相当最近まで「うる覚え」だと思っていた。うるんでどうする。

 

ホールの響きがよく出囃子が面白いくらい鳴りがいい。

 

瀧川鯉昇在原業平の歌の解釈を巡って南千住やモンゴルが出てくる話、桂雀々が「手水をまわす」という言い回しの解釈を巡って頭の長い男が頭を回したりや手水を飲んでしまう話、柳亭市馬が妹が殿様に嫁いだ長屋の兄ちゃんが殿様のところへ行ってざっくばらんにしゃべる話をしていた。

 

鯉昇の抜け感とシュールな世界にくすぐられ、雀々のスピード感に笑うのが追いつかず、市馬の声と品のある喋りにうっとりした。

 

帰りは京王バスに乗る。

休日のバスはちょっと落ち着かないから、運転手の真後ろの座席が高いところに座る。ここなら多分誰からも席を譲れと言われないだろう、という邪な気持ちもあった。

 

家に帰りふと目にした新聞のテレビ欄をみていると「柳家喬太郎」の文字を発見。キョンキョンはなんとEテレで14時からやっている番組『日本の話芸』に出ていたのだった。

そっか、キョンキョンはあの時間テレビに出てたんだね。(って録画だし笑)

初めて話すんだけどね。

「これ、ひとに初めて話すんだけど」「こんなこと奥さん(旦那)にも話したことない」…という話をよくされる。独身であまり生活感のない芸術家気質(とよく言われるがそれがなんなのかよくわからない)のわたしには話しやすいのだろうか。それともみんなにそんなこと言っているのだろうか。

初めて話すんだけどね…といって話す内容はだいたいは個人の話。自分の信条とかかつての夢とかそんなことをキラキラした顔で話す。

ああ、個人に戻るとこんなに素敵な顔しながら素敵な話をするんだなぁ、と思うこともある。またその反対もある。

家族や配偶者やパートナーにはそういう話はできない、あるいはしない、と彼らはいう。

そんなものなのかな。

家族や配偶者、パートナーとの関係の中で個人を諦めて関係性を保つために役割を演じるのが一般的な生き方なのだろうか。

…って、こんなことわたしが考えているなんて初めてひとに話すんだけどね。

夢になぐさめられる。

夏休みが終わる。

あー、明日から始まる…ってどよんとしてしまうのはこどもだけではなくおとなもいっしょ。

こどももおとなも行きたくなるような場所になればいいのにね、学校とか会社とかね。

あたまのてっぺんからあしのさきまで緊張の柱のような何かが貫いて眠れない。あーやだやだ。やだすぎる。寝つけない。

でもところどころ寝ていたようで、ところどころで夢を見る。

キリンジ堀込高樹がお天気空の下、物干しで洗濯物を干している。「わあ、高樹さんだ!」とトキめいた。「おはようございます!」とニコニコして挨拶をしたら、高樹さんは洗濯物を干しながら「おはようございます」とフレンドリーな笑顔で返してくれた。

それからよくわからないが高樹さんと台湾だか香港だかに行くことになった。旅行会社のカウンターに一緒に行った。「この日程で行きたいのですが…」と高樹さんが言うと、わたしはその日が仕事の日だとその時点で気づき、「あ、仕事で行けないです」と言って…夢は終わってしまった。「ああ、なんで、あんな楽しいところで仕事なんかを優先するんだ」と更に夢の中で歯噛みした。

その後は半分覚醒しながら体の正中に例の緊張感が漲っている傍らをキリンジの曲があれこれ流れて行った。

あんなに苦しい時に夢に高樹さんが出てきてくれて本当によかった。ありがとう。

ボタンを掛け違えたまま耳をうずめてN.O.

「ボタンを掛け違えたまま 大人になるのは嫌ね」と姪に言われ、「ボタンを掛け違えたまま年をとるのは恥ずべきことだ」と親父の通夜で叔父に絡まれ、「ボタンを掛け違えたまま年をとるのは切ない」と姿見に映る野郎に言われる…(キリンジ『奴のシャツ』)

 

そっか、わたしもその口だったのか、と気づく四十路の暮れ。

今は狭い実家の和室を防音室にし、ベビーでグランドなピアノの横に寝台を置き寝起き。

 

僕ら音楽に愛されてる、そう思うのか?

キリンジ『耳をうずめて』)

 

ああ、音楽に愛されてる…いや、片想いかストーカーか。大体音楽のことを考えているかな。いや、内田百閒を気ままに味わう時間も、インコとお話しする時間も結構あるな。「ボタン掛け違え人生」を振り返って喜怒哀楽する時間もまああるな。半期に一度、友達と演奏会を開く。即興ピアノをやる。神を感じる不思議な時間。あとは結構ぼんやり時間。性に合わないと思いながらも続けている仕事に行く時間もままある。

 

先を思うと不安になるから今日のところは寝るしかないね〜(電気グルーヴ 『N.O.』)