例年この時節は按配が良くない。
鳩尾の辺りがもわもわそわそわする。
ひんやりした湿気に包まれるともういけない。
耳の奥のどこかがそういった類のものを感知するらしいとは聞いたことがある。
とにかく意志とは関係ない次元で鬱してくる。
できることなら沼地に肩まで浸かって顔だけ出してひたすらぼんやりしていたい。
けれども朝早く起きて電車に乗って仕事しに行かなくてはならないからなかなか大変だ。
毎年恒例の年中行事のような鬱のお目見えなのだが、幾度繰り返しても慣れるものではない。毎回新鮮にツラい。傍目にはわからないのがなおツラい。もう持病と思って過ぎるのを待つしかない。
他の皆さんはこんな時期にも元気ハツラツなのだろうか。羨ましいことこの上ない。
夏になるとこんな気分も消えていくが、秋風が吹く頃になるとまた妙な心持ちになってくる。そして冬になって日照の少ない二月などになるとこれまたいけない。そしてしばらくすると春風が吹いたりするとこれまたよくない。
どうもわたしは日本の四季が体質的に合わないのかもしれない。
雨季と乾季くらいでちょうどいいのかもしれない。
来世奇しくもまた輪廻転生のなかに放り込まれるとしたら雨季と乾季の地域に生まれたいものだ。
風の音が狂おしいほど好きなので、木の多いところがいい。なるべくなら陽の光が透けて見える葉っぱがついてる木がいいね。
そうだなぁ…岩合光昭さんの『世界ネコ歩き』で観たギリシャの修道院のネコなんか最高にいいなぁ。
それに生まれ変わるには余程現世で徳を積まなければなれぬのであろう。
うーん、もはや手遅れか…