rumipianoのへっぽこるみ日記。

即興ピアニストrumipiano(岡本留美)のブログです。日々のつれづれ、脳内日記(創作日記)、演奏会情報などを載せています。YouTube公開中(『youtube rumipiano』で検索)。ホームページは「rumipiano ホームページ」で検索するとご覧いただけます。お問い合わせはrumipianosokkyo@gmail.comまで。

脳内日記 その三。

朝起きた時、口の中がなんだか不慣れな感じがした。

とりあえず洗面所に行って鏡の前で口を開けてみた。

下の前歯がいつもより大きく見えた。

今度は上と下の歯を合わせて見てみた。

よく見るとなんと上の歯と下の歯が入れ替わっていた。

どうりで下の前歯が大きく見えたわけだ。

ドキドキしながら歯を磨き、急遽かかりつけの歯科の予約を入れた。

 

「やあ、今日はどうしたんだ〜い?」

行きつけの歯医者は今日もアメリカ映画の吹き替えのような喋り方だった。

「朝起きたら上の歯と下の歯が入れ替わっていたんです」

「こうなったのは初めてなのか〜い?」

「はい。」

「そうか。それならびっくりしちゃうな」

「え…これってよくあることなんですか?」

「うん。『土用噛み』っていうんだけどね、土用の丑の日近辺に起こることがあるんだ。歯科医の中でも知らないヤツが結構いて『これは大変!』とデンタル撮ったり大学病院に紹介状書いちゃったりしてね、ハハハハハ。遺伝的な要因が大きいとかいう人もいるんだけど本当のところはまだよくわかってない。でもね、土用が過ぎればまた元に戻るから大丈夫だよ。」

「大丈夫、といってもそれまでの間どうしたら??」

「通常通りの生活で大丈夫だよ」

「だって見た目が変でしょう」

「気になるんだったらマスクでもしておくといいさ。人なんて案外そんなところまでは見てないもんだぜ、経験者かぼくみたいな歯科医でもなければね」

歯科からの帰り、コンビニに寄った。

スティック野菜と鮭おにぎりと念のため使い捨てマスクを買った。

レジの店員が私の顔を見て「いらっしゃいませ」とごく普通に言った。

「869円になります」

「では1009円で」

「はい、1009円お預かりいたします。140円とレシートのお返しになります。ありがとうございました」

なるほど大丈夫だった。

家に帰って、スティック野菜と鮭おにぎりを食べたがほぼいつも通りに食べることができた。

 

夕方、珍しく知り合いと夕飯の予定が入っていた。

「や、久しぶり」

「ほんと、いつぶりだろね。元気にしてた?」

「まあなんとかやってたよ。君のほうは?」

「ああ、こっちも相変わらずすぎるくらいだよ」

差し向かいで食事をして話をしているのに相手は一向に気づかなかった。

なるほど、人なんて案外見ているようで見ていないんだなと実感した。

早く土用が過ぎてくれるといい。

脳内日記 その二

毎朝朝食の準備で卵を割る。

鶏の卵だ。

割った中身を味噌汁茶碗に入れてクルクルかき回したり、茶碗に入れずにそのままフライパンで目玉焼きにしたりする。

 

今朝は卵を割って味噌汁茶碗に落とした。

「ん?なんか違うな」

思わずひとり呟いた。

黄身の形が三角だ。

家の者にも見せると、

「あれ?!なんで三角なの??気持ち悪いね。捨てちゃえば?」

「大丈夫じゃないの?試しに食べてみるよ。」

先日うちに来たばかりの鳥かごの中のミニチュア宇宙人にも見せてみた。

するとダッシュでカゴの入り口付近に飛びついて来た。

「プポッ、プポポポポ。ププポポポプポポ」

普段は黒目がちな目に白目を交えてこちらを見て何かを懸命に訴えていた。

こんな必死なミニチュア宇宙人は初めて見た。ダミーのセキセイインコのおもちゃを見せても微動だにしなかったのに。

 

キッチンに戻り調理を再開。

折角なのでかき混わすのをやめ目玉焼きにしてみた。

黄身が崩れないよう細心の注意を払ってほろんとフライパンに流した。

黄身は依然として三角形を保っていた。

水を少量かけて蓋をして弱火で待つこと数分。

地味にドキドキしながら蓋を開けるとそこには目玉焼きが完成していた。

いや、正確には目玉焼きではない。黄身が三角だ。これは何焼きと呼ぶべきか…三角形のもの、三角形のもの…「イカの頭焼き」…これでは「イカのげそ焼」の二番煎じ感満載だ…などと考えながら食した。味は黄身の丸い目玉焼きとほぼ一緒だった。

 

「黄身が三角形の卵」で検索してみた。

目ぼしいものに突き当らなかった。

お客様相談センターに相談することにした。

その卵が入っていたパッケージにフリーダイヤルの番号が書いてあった。

早速電話をかけた。

「お問い合わせありがとうございます。ただ今オペレーターにお繋ぎしています。尚サービス向上のためにお客様との通話の内容を録音させていただきます。」という自動音声が応答した。

まもなくオペレーターが出た。

「お待たせいたしました。お電話ありがとうございます」

「あ、お願いします。そちらの卵のことなのですが」

「いつもご愛顧ありがとうございます」

「いえいえ。実は今朝卵を割ったら黄身が三角だったのであれーっと思ってお電話したのですが」

「そうでしたか。それは多分ミニチュア宇宙人系のニワトリが産んだ卵かと思います。お召し上がりになっても健康には問題ございませんのでご安心ください」

「ミ、ミニチュア宇宙人系のニワトリですか?!」

「はい、そうです。従来のニワトリと見た目はほぼ同じなのですが、養鶏場のオーナーさんたにが口々に『ニワトリの割には遠い目をしている』『ニワトリにしては落ち着いた佇まいがある』と言っているそうです。」

「うちにもセキセイインコにそっくりのミニチュア宇宙人がいるんですが…」

「ああ、そうなんですか。近頃流行っていますからね、ミニチュア宇宙人系。なので普通に召し上がっていただいて構いませんので」

「わかりました。ありがとうございます」

「いえいえ。こちらこそお客様にご心配をおかけして申し訳ありませんでした。これからも我が社の卵をよろしくお願いいたします」

「はい」

「では失礼いたします」

「はい。いろいろお世話様でした」

電話を切った。

うちのミニチュア宇宙人はミニチュア宇宙人系セキセイインコに属するのだろう。そこまでペットショップの店員さんは説明していなかったが。

だからあんなに反応していたんだ、うちのミニチュア宇宙人が…黄身の三角の卵に。

 

脳内日記 その一。

近所のペットショップに行く。

わんちゃんねこちゃんコーナーには目もくれず小動物コーナーへと向かう。

今日もいるいるインコたち。

セキセイインコオカメインココザクラインコ、アキクサインコ、ズグロハラシロインコ、マメルリハ…

 

あるセキセイインコに目を惹かれた。

よく見ると、セキセイインコの割には心なしか遠い目をしていて、これまたセキセイインコの割には落ち着いた風情であった。

「このセキセイインコ、なんだか遠い目をしてますね。それに落ち着きもあるし…」と近くにいた店員にそれとなく言って見た。

「あ、この子セキセイインコじゃないんです。ミニチュア宇宙人なんです。」

「ミ、ミニチュア宇宙人?」

「はい。最近人気が出てきて当店でも取り扱いを始めたんです。」

「そうなんですか」

「ええ。セキセイインコと間違われるお客さまが多いんですよ。よく似ていますからね。わたしも最初はわかりませんでした」

「てっきりセキセイかと…」

セキセイインコは『宇宙人が地球に来た時の置き土産』とも言われているそうで、その大元がこのミニチュア宇宙人だそうです」

「なるほど」

「飼い方はほぼセキセイインコと同じで、餌もセキセイインコと同じです。鳴き声もかなり似ているのですが、セキセイよりはややエコーがかかったビブラートが入りますね。セキセイと違って小松菜やチンゲンサイなどの葉っぱは食べないんです。宇宙にはないですからね。そのかわりに…ちょっとお待ちくださいね」

と言うと小動物のグッズが置いてある棚の方へ向かい何か小さな袋を持って戻ってきた。

「これをおやつにあげれば喜んで食べますよ。これで栄養は十分です。」

これ、と言って店員が差し出した小袋には『ミニチュア宇宙人用隕石パウダー』と書いてあった。

しばらくミニチュア宇宙人を見ていた。

時折キョロキョロと辺りの様子を伺っては例の遠い目でじっとしている。

その佇まいを眺めているうちに離れられなくなった。

 

今、この部屋に鳥かごがある。

中にはミニチュア宇宙人が止まり木に佇んでいる。

ああ、もうこんな時間か。

時折思い出したようにぴゅるるる〜っと声を上げる。確かにエコーがかったビブラートが入る。

それを聴くと脳が痺れたようになる。

畏れ多くて名前が付けられない。

仕方がないから隕石パウダーでもあげよう。

そろそろモード変換。

ピアノの演奏会、「やりたい放題 第6弾」まであと二週間ほど。

 

やっと娑婆の仕事が一段落。

さて今日から演奏会に向けて音楽モードにシフトチェンジ。

 

今回はどうなるでしょう。

本番で浮かんだものが鍵盤に移せる(写せる、かな?映せる、かな?んー…全部だな!)ように頭と手を近づけておかなくちゃね。

 

7月28日(土) 17:00から幡ヶ谷のKMアートホールで弾きます。

よかったら是非いらしてください。入場無料です。

 

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とりわらわら。

最近近所に鳥さんたちが増えたような気がしている。

遊歩道をわらわらうろうろと。

そんな姿を見るとわくわくしてしまう。

 

道路をハトさんが渡るのを待っている車もこのところよく見かける。

横断歩道を赤で渡っているハトさんもいた。

とりさんたちはヒト以上に細かく色を見分けられるという。

 

立川駅の近くにもカルガモ親子が現れたらしい。

 

個人的には街中にとりさんたちが増えるのはヒトが増えるよりもうれしい。

ヒトが減って税収が減るのはうまくないのだろうけれど。

とりさんの仲間になってみたい。

仲間になってあのほわほわのお腹のなかにうもれてみたい。

なかなかいい匂いがするんだ、あのお腹。

セキセイインココザクラインコオカメインコ、キバタンあたりはいい匂いだ。ほかのとりさんは残念ながら嗅いだことがない。ぜひ嗅いでみたいものだ。

ジャコウインコなんてのもいるらしい。それはそれはいい匂いがするそうな。

NHK。

地上波の受信料を払っている。

夜8時過ぎに仲間由紀恵の旦那に似た男が訪問してきて「BSが映るから受信料払え」と来たから払っている。

災害時ぐらいはちゃんと頑張ると思っていたから、NHK

でもそうでもなかった、NHK

総合ではどうでもいい番組を流している。Eテレは通常放送でもいい。むしろそれがいいと思う。総合でバラエティやらを流してどうする、と思う。

どうでもいい番組の画面の横に増え続ける犠牲者と行方不明の人の数、画面の上はその他断水やら停電やらの情報をお情け程度に流す。

どう受け取ればいいのか、この画面を。

NHK

休暇。

随分前のこと。

映画の上映案内を見ていた。

『休暇』という映画のタイトルが目に入った。キャストに西島秀俊の名前もあった。

休暇、とか、隠居、とかその手の言葉が大好物だったし(今でもそれは変わらない)西島秀俊も好きだったのであらすじも読まずに「あくせく働く奴らを横目にのんきに西島秀俊が過ごすんだろう」くらいな気持ちで映画館へ行った。

 

西島秀俊は死刑囚役(金田)。

台詞はほぼ無い。

刑務官役(平井)の小林薫

 

金田の刑執行が決まる。

「支え役」が二人募集される。

死刑執行の踏み板のある部屋の下(踏み板が外され囚人が首に紐をかけられ落ちていく部屋)で死刑囚が生き絶えるまで足を抑えるのが「支え役」。

「支え役」を志願すると、一週間の休暇が与えられる。

 

平井は事情があり、長めの休暇が欲しいと思っていた。

けれども「支え役」は相当な心理的負担になる。

考えた挙句「支え役」に志願する。

「支え役」を果たしたのちの休暇を恋人と過ごすが、「支え役」の時の死刑囚を抑えた感触などがつきまとい吐き気などの身体症状や錯乱などの精神症状などに襲われる…

 

死刑執行のニュースに触れてこの映画を思い出した。