お付き合いしていくしかなさそうだ。
先日来の耳鳴りと難聴。
耳硬化症の疑いあり、というところか。
症状の出始めは何かと気になる。
四六時中気になってしまう。
特に初めての時は尚更だ。
左耳の低音部難聴が始まったのはかれこれもう30年以上前のこと。
音が歪んで聞こえるな、と思ったら低音の耳鳴りが始まった。
ふと我に返ると「ゴッゴッゴッ」と聴こえてきた。
特に就寝前後は耐え難いものがあった。音楽をかけても結局「ゴッゴッゴッ」が気になってうまく聴けなかった。
辛い日々が続いた。けれども高校生の自分には「耳鼻科に行く」という選択肢は浮かばなかった。何故なのかはいまだに分からない。
先日読んだ本に「好きな音域からダメになることがある」と書いてあったが、確かにこの頃、ベースなど重低音が異様に好きだった。ウォークマンでもステレオでも重低音をきかせて聴いていた。
重低音のレベルを「もっともっと」と上げ続けていた。
その他にも断続的に近距離でドラムの音を聴く環境にあったのも災いしたのだろう。
来る日も来る日も朝から晩までゴッゴッゴッ。
気がどうにかなりそうだった。
音楽が好きな人間には耳は特に重要な器官だ。
打ちひしがれる日々。
事あるごとに気になり、その度にいろんな病院を訪ねた。けれどもどこでも「原因不明」とされてきた。
そんなことを繰り返すうちに「これはどうやら治りそうにないものなんだな」と思うようになった。お付き合いしていくしかなさそうだ、と。
それから耳鳴りは前景から背景へと変わっていった。耳鳴りを気にする時間が減ってきた。
もちろん治ったわけではなかった。
ピアノを弾いたあとや演奏会を聴きに行った時、気圧の高低差、などいろんなときに耳鳴りはやってくる。耳鳴りの音色や音程も変わってくる。
しかし今回は低音部難聴が始まった頃の感じと似ているので、慎重になっている。高い耳鳴りが激しくなり、聴力検査をしたら高音部が落ちていて…という感じ。
かかりつけから紹介された病院には、20年以上前のデータが残っていた。
それと今回の検査データを比較して、今すぐ処置をする段階ではないという事だった。
高音が落ちたのは、ピアノの高音部が好きなこともあるかもしれないが、年齢のせいもあるだろう。
さあ、また新しいお付き合いが始まりそうだ。
まだまだ耳鳴りが前景になっている時間は多いが、前回の経験があるので処し方は察しがつきやすい。
耳を大切にしながら、という観点から音楽との付き合い方、ピアノとの付き合い方、生き方を考え直していこうと思う。