市の検診で眼圧測定のためにかかりつけの眼科に行った。
検査室の眼圧測定器が実に苦手だ。
眼球に風をぱしゅっと当てて測定する、あの器械だ。
風が目に当たるか当たらないかのときに「ひっ」となって後ろにのけぞってしまう。
それ故毎回やり直しになる。
「なるべく目を開けていてください」「頑張って!」と検査技師さんに言われるが、あーもう無理無理。勘弁してくださいと逃げ出したくなる。
目玉を舐められる、という話が内田百閒の小説に出てくるがそれくらい眼圧測定器も恐怖だ。
目の中に入れるコンタクトレンズも怖くて仕方ないので専らの眼鏡派だ。
目の中に入れても痛くないほどかわいい、なんていう表現があるが、いくらかわいく思えるものでもわたしには無理だ。
さて、眼圧測定器。目に風を当てて眼圧を測るなんて一体どこの誰が思いついたのか。その人は目に風があたってもへっちゃらだったのだろうか。きっとかわいいものを平気で目の中に入れて歩いていたのだろう。
案の定、眼圧の測定結果はいつも悪い。
数値が高く出てしまう。
診察室には風を当てて測るタイプのものではない眼圧測定器がある。それだと検査数値は正常範囲になる。
「緊張しちゃうんですかね」と医師は言う。
面の皮はさておき、ひょっとして目の皮が通常よりも薄いのだろうか。