定期的に失踪しては帰ってきて…を繰り返すひとがいるらしい。失踪癖、とでもいうのだろうか。
とんと昔、大学受験のため塾に通っていた。
あれは高校2年の頃だったろうか。
塾の英語のクラスの担当の先生は温和で淡々としたひとだった。
授業も淡々と進めていた。
説明は的確でわかりやすかった。
ある時、そのクラスに行くと違う先生が来た。
担当が急遽変わったのだ。
その先生は失踪してしまったらしい。
家庭もあって小さい子供もいるとのことだった。
それ以前にも失踪したことがあるらしい。
リセットしたくなったりデトックスしたくなったり自分の中の何かが満タンになると、或いは空っぽになると失踪するのだろうか。
まあ確かにたまには異空間に無性に行きたくなることはある。いつもの生活から抜けたくもなる。でもなんとか押しとどまっている。そのとどめが効かなくなると失踪になるのかもしれない。
あらかじめ考えて、とか、しっかり計画して、とかではなく、ある日ふらっとその瞬間が訪れるのかもしれない。
定住、とか、特定の家庭に収まっている、というのはヒトの生来の習性に根付いたものなのだろうか?それとも後付けなのだろうか?
ちなみにここ数年の年間失踪者数は約8万人超。高止まりの傾向にあるらしい。
事件によるもの、疾病によるもの、経済的事情によるものなどいろいろ含まれた数ではあるが、ふらっと失踪したケースもかなり含まれているのではないだろうか。