rumipianoのへっぽこるみ日記。

即興ピアニストrumipiano(岡本留美)のブログです。日々のつれづれ、脳内日記(創作日記)、演奏会情報などを載せています。YouTube公開中(『youtube rumipiano』で検索)。ホームページは「rumipiano ホームページ」で検索するとご覧いただけます。お問い合わせはrumipianosokkyo@gmail.comまで。

夢のある場所。

ふと我にかえると府中伊勢丹閉店のことを考えている。

府中の駅周辺にはくるるやル・シーニュというテナントビルがある。 けれども伊勢丹ほどのインパクトはない。色んな店の寄せ集め。「多様なニーズに応える」ともいえるし、やっつけで考えたテナントにも思える。

そこで客は用事のある店に入る。

もちろんそれぞれの店にはそれぞれのコンセプトや雰囲気があるのだろうが、それが寄せ集められると全体としては混沌としてその中ではそれぞれのコンセプトが霞んでしまう。同時にいろいろな音楽が流れているのを聴くように。

そこへ来ると伊勢丹は基本コンセプトがしっかりある。それ故にいろんなものが並んでいても、いろんなブランドが並んでいても混沌としない。アロマを効かせた空調や音楽や独特のアナウンスが全館を通奏低音のように包み込んでいるからだろう。雑踏から伊勢丹に入って行くと、そんな伊勢丹ワールドにホッとする。

食料品一つとってもなんというか夢がある。

なんだろう、あの感覚は。スーパーで食料品を買うときにはない感覚。「高級感」では説明のできない感覚。

伊勢丹の中をグルグル歩いて商品を眺めていてもいろんな夢に遭遇する。そして自分の近くに置いておきたい「夢」に出会った時はアイカードを使ってお持ち帰りする。

そんな場所が家の近くにあるのはそれこそ夢のようだった。

もちろん「夢」に慣れてしまって「府中伊勢丹はやっぱ府中伊勢丹だよね」なんて親類の悪口を言うような安心した感覚で言ってみたりすることもあったが本心ではなかった。府中に伊勢丹があることが誇りだったからだ。やっと府中がそういう街になってきたと。

夢は時として文化となる。

府中には歴史はあるがどうも文化というか夢というか遊び心があまり見当たらない、とずっと思ってきた。

そんな時、府中に伊勢丹が出来た。美術館が出来た。やっと府中にも新しい風が吹いてきたと思った。

府中市美術館が本江館長のもとで府中に素敵な夢と遊び心を存分にもたらしてくれたが、館長が変わってからはどうなのだろう。来年の3月あたりまでリニューアルのため閉館している。リニューアル後はどんな風に変わるのだろう。

 

夢や遊び心でお腹は満たされない。けれども精神は満たされる。

夢の砦がひとつ、府中から消えようとしている。