夕方の公園にサッカーボールを持った少年がひとり。小学3年生くらいに見えた。
公園の隅にある花壇を囲う煉瓦の上に鳥が一羽。鳩ぐらいの大きさに見えた。
「こんにちは」
と少年が鳥に挨拶していた。
鳥がレンガの上を右往左往していた。
「とりさん」
とさらに少年が鳥に近づいて行った。
鳥はちょっと困っているようだった。
何を隠そう、わたしもこの少年と同類だ。
外で鳥を見かければ挨拶する。
カラスを見かけると辺りに人がいないのを確認してから「ぴーちゃん」と呼びかける。
カラスが「なんだお前」みたいな顔をする。
猫にも挨拶するようにしている。
挨拶し返してくれる猫もいる。
時には向こうから声を掛けてくることもある。
ある時、道端で猫に会った。
話をしていたら、猫が歩き出した。
何度も振り返ってこちらを見ていた。
「付いてきて」と言っていた。
なので後に続いた。
けものみちなのでちょっと歩きづらいところもあったが頑張って付いて行った。
やがて草の生えた空き地に出た。
なかなかいい感じの場所だった。
そこに住んでいるとのことだった。
しばらく猫の家にお邪魔した。
家を褒めて、招待してくれた礼を丁重に言ってからお暇した。
鳥はなかなかここまでしてくれない。
彼らはスーパー個人主義らしいからね。