朝4時半前に目覚めた。
ものすごくスッキリとした目覚めだった。
生まれて初めてだった。
びっくりだった。
朝早起きがものすごくストレスだった自分とやっとオサラバできたんだ!!
テンションが上がりに上がった。
部屋のカーテンを開けて早朝の空気を吸った。
早朝の味がした。
鳥の声ばかりが聞こえた。
最高だ。
ヒトの気配は最小限だ。
インコのポポちゃんピコちゃんのいる部屋のカーテンも開けた。
ポポちゃんピコちゃんのカゴに被せたブランケットも取り去り「おはよー」と声をかけた。
二人ともまだ状況が飲み込めていないようでボンヤリしていた。鳥にもまだ早い時刻だったようだ。
迷惑をかけてしまった。
筋を伸ばしたりしばらくストレッチをした。
ああ、爽やかで爽快だ!
そうだ、散歩に行ってしまおう!
いそいそと着替えるもふと「早朝は深夜並みに街は危険なのだろうか」と早朝慣れしていない故に心配になったが
「ま、5時を過ぎれば平気だろう」
と思い直した。
そして、散歩に出かけた。
遊歩道はほとんどヒトがいなかった。
ああ、こんな世界があったんだ。
いつも寝ている間にこんな素敵な異空間があったんだ!!
世界って素晴らしい!!
散歩の足取りもまるで半分宙に浮いているように軽快だった。
ああ、全てが自分のために開かれている!!
世界が両手を広げて自分を出迎えてくれている!!
朝を制するものはなんとやら、とはよく言ったもんだ…もうこれで自分も早朝人間の仲間入りだ!!ああ、なんて清々しい!!
途中、神社に寄った。
拝殿の手前の門もまだ開いていなかった。
摂社に挨拶をして、いつもヒトの多いケヤキ並木を颯爽と歩いた。
見慣れた光景が早朝のおかげでまるで違って見えた。
馴染みの道にも大いに新鮮なものを感じながら家に帰ってきた。
それからテレビを見ながら体操をし、朝食を食べ、ポポちゃんピコちゃんのカゴを掃除した。
早起きって最高っ!!
本当に幸せな気分になるね、早起き!
…と思いつつじんわりと異変が近づくのを感じた。
高揚感に陰りが見え始めた。
古くなり急激にチャージが減るスマホのバッテリーのような変な気分になってきた。
ね、眠い…
睡魔に襲われた。
三時間ほど眠ってしまった。
起きたのは10時半だった。
しかしまだ早朝を制覇した感激は燻っていた。
日用品の買い物に行った。
そしてピアノを弾いた。
コンコーネで弾き語り練習もした。
YouTubeもアップした。
よし、これからは毎日4時半に起きるぞ!
こんな明るい世界が早起きで得られるなんて知らずに半世紀近く生きていてしまったとは不覚だった…
思いを新たにその日の夜は眠りについた。
さて翌朝。
10時起床。
昨日の早起きの後遺症が早くも出た。
気分もトゲトゲして仕方ない。
もやもやして気分の座りが悪い。
体もどこかしら怠い。
テンションも低い。
虚脱状態といったところか。
一日どうにもダメだった。
やはり性に合わないことは…性に合わないんだな。
ローマは一日にして成らず。
合掌。