調布飛行場のあたりを友人と散歩の途中に入ったカフェバーでずっとユーミンがかかっていた。
「ユーミンを聴くとさぁ、なんかこう…」
「心がざわざわするよね…」
「そうそう、そうなんだよね!!」
そう、そうなのだ。
プライベートで聴いている分にはまだしも、パブリックなところでユーミンを耳にすると一挙にプライベートモードに引き戻される不意打ちのような心待ちになってしまうのだ。
鬱陶しい若々しさを持っていたあの頃が中年の体にフラッシュバックしてしまうのが堪える、というか…堪えながらも一方では懐かしくて…結局ざわざわしてしまうのだ。
そんなことで、お互いなんとなくしんみりとした気持ちで向かい合って飲んでいた。
中学生の頃、ユーミンの音楽と初めて出会った。
『ダンデライオン〜遅咲きのタンポポ』や『まぶしい草野球』などCMに流れていたのを聴いていいなぁと思っていたのだが、それがユーミンだとは知らなかった。意識して聴いたのはクラスメイトから借りた『NO SIDE』が最初だった。
音作りや言葉が心地よかった。
それからいろんなアルバムを集めて聴き始めた。
歌詞やアレンジャーや参加ミュージシャンの名前を眺めながらねっとりと聴くのは至極の時間だった。
アルバムでいうと、『ひこうき雲』から『Alarm a la mode』あたりまではしっかり聴いていたが、その後はあまり追わなくなった。
一番好きなアルバムは『紅雀』。
ユーミンのアルバムの中では売れなかったらしい。
『ハルジョオンヒメジョオン』『地中海の感傷』など派手さはないけれどどれもいい楽曲だなぁと思う。
松任谷正隆のアレンジがまたいい。
演奏もいい。
『Olive』『悲しいほどお天気』『流線形'80』『時のないホテル』『Reincarnation』『Voyager』などもいいアルバムだなと思う。
好きな曲といえば…曇り空、晩夏、ナビゲーター、大連慕情、Babylon、ホライゾンを追って、白い服白い靴、A Happy New Year、夕闇にひとり、人魚になりたい、Salaam Mousson Salaam Afrique、Blizzard、夕涼み…などなどなどなど。
ユーミンも今年で50周年。
おめでとうございます。