気象庁によると、世界が一変するような台風にこれから見舞われるらしいので、「気象庁は随分文学的な表現を使うようになったな」と思いつつ世界が一変する前にとりあえず自宅付近の見納めに行った。
夜空に浮かぶ雲たちは異様にたなびく訳でもなくふつうに浮かんでいた。
虫の声も聞こえてくる。
コンビニには普通に店員さんがいる。
郵便局の前のポストもちょこんと立っている。
小さな神社の鉄製の鳥居も夜の中にひっそりと佇んでいる。
横断歩道の信号も赤になったり青になったりを繰り返している。
歩道にはところどころに木が立っている。
集合住宅の駐車場には車が整然と並んでいる。
公園にはブランコがぶら下がっている。
滑り台も片隅に静まっている。
…こんなものたちが明日の朝にはどうにかなってしまっているのだろうか。
明日の朝、部屋のベッドでスヤスヤ眠る自分がいるのだろうか。
毎朝聞こえるぴっころちゃーんぐるぐるぴー(セキセイインコのさえずり早朝練習)は明日の朝にも聞けるのだろうか。
このような些細な日常の繰り返しが奇跡的の連続なんだな。