rumipianoのへっぽこるみ日記。

即興ピアニストrumipiano(岡本留美)のブログです。日々のつれづれ、脳内日記(創作日記)、演奏会情報などを載せています。YouTube公開中(『youtube rumipiano』で検索)。ホームページは「rumipiano ホームページ」で検索するとご覧いただけます。お問い合わせはrumipianosokkyo@gmail.comまで。

脳内日記

脳内日記 其の三十六。

少子化の影響でもはやお墓の継ぎ手がいないことが問題になって久しい。 マンション型永代供養墓所や樹木葬、散骨などいろいろ出てきたのもその影響だろう。 テレビをぼんやりみていたらこんなCMが流れた。「ニコニコ葬祭の『消葬』であなたのお墓問題を解決…

脳内日記 其の三十五。

ピンポーン、と玄関のドアチャイムが鳴った。 インターホンを取ると 「日本郵便です。ポチ信用金庫さんから書き留めです」 「は〜い」 ドアを開けた。 「こちら書留です」 「ありがとうございます」 「ハンコおねがいします」 いつもある場所にハンコが見当…

脳内日記 其の三十三。

今日の夕食はパスタにした。 ミートソース缶にするつもりだったが、気が変わってサバ缶にした。 まずみじん切りにした玉ねぎとにんにくをオリーブオイルで炒め、そこにサバ缶とグリンピース缶を追加してさらに炒め、塩コショウして醤油で味を整え最後にディ…

脳内日記 其の三十一。

あれはちょうどひと月ほど前。 いつものようになんとなく悶々としながら昼日中の近所を散歩していた。 するとふと細い路地を見つけた。 こんなところに道があったんだ。 いつも通っているのにぜんぜん気づかなかったなぁ… どうせなので通ってみた。 すると突…

今年も終わり。

2020年も終わり。 今年はよくわからないうちに大晦日が来てたなぁ… 病院の待合室でずっと待ち続けていたような一年だった。 ヒトにもトリさんにもブタさんにも感染症が拡がっている。 トリさんとブタさんは家畜。 アニマル・ウェルフェアという言葉をつい最…

イブにこばなし。

今年は例年以上に訳の分からないうちに年末が来ていた。 さて今日はクリスマスイブ。 YouTubeは久々に「おはなしピアノ」。 おはなしは、このブログの「脳内日記 其の十九」を使ってみた。 クリスマスイブには多少合うんじゃないだろうか。 セキセイインコに…

脳内日記 其の三十。

半年前のこと。 「あんたもそろそろ結婚でもしてみなさいよ」 と、幼馴染のゆきみが見合い話を持ってきた。 ほぼ半世紀独身でいて今更面倒だなぁと思った。 「彼、トウダイくんよ!」 「え!ほんと?!会ってみたい会ってみた〜い!!」 それから一週間後に…

脳内日記 其の二十九。

「マダツカエルヨ」 「マダツカエルヨ」 この頃外を歩いているとよく聴こえてくる。 けれども声の主がわからない。 今日も道すがら聴こえてきた。 「マダツカエルヨ」 思わず辺りを見回した。 他の通行人もいたがみんな素知らぬ顔で歩いている。 聴こえてい…

脳内日記 其の二十八。

私にはどうも怖いものがある。 ヒトの口だ。 これがどうにも怖いのである。 開いた時に歯や舌の奥に見えるあの暗いうろ。 もう考えただけで鳥肌が立つ。 ヒトと対面で話さざるを得ない時がある。 鏡で自分の開いた口を見るのもダメだ。 歯磨きの時は鏡を見な…

脳内日記 其の二十七。

このところ東京はめっきり原っぱが多くなった。 隙あらば原っぱを潰してマンションやら住宅を建てていた頃が嘘のようだ。 コロリウイルス騒ぎで高度成長期に祖先が東京に出てきた人たちが軒並み元いた地域に戻っていったことも多少影響しているのかもしれな…

脳内日記 其の二十六。

やっと時代が来たな、とほくそ笑んだ。 そう、お籠もり様の時代が来たのだ。 コロリウイルスが世界に蔓延して、東京でも猛威を奮っている。 東京ネズミーランドや年増園などの人気スポットも軒並み臨時閉園に追いやられている。 自宅でエレワークが推奨され…

脳内日記 其の二十五。

やっと時代がきたな、とほくそ笑んだ。 そう、おひとりさまの時代が来たのだ。 独身さまの時代が… 「おひとりさま一点限り」との表示をいろんなところで見かけるようになった。 ハンドソープの詰め替え用を買おうと行きつけのホームセンターに行った。 「お…

脳内日記 其の二十四。

コロリウィルスが蔓延している。 マスクが全国のあらゆるお店で品薄状態だ。 ドラッグストアには徹夜で並んでマスクを求めるひとの列ができたり、量販店のパーティーグッズコーナーにあるクイズでおてつきした人用の赤いバッテンのついたマスクも品切れにな…

脳内日記 其の二十三。

耳もよく聴こえないし目も見え辛い。 精神も靄がかかったようだ。 本当に大変だ、生身は。 小学生くらいまでは全てが概ねすっきりはっきりしていたんだがなぁ… と、日々思っていた。 今朝のこと。 目覚めると、いつもと何かが違っていた。 視聴覚がとてもク…

脳内日記 其の二十二。

ナチュラルチーズが健康にいい、と聞いたのでナチュラルチーズを食べるようになった。 チーズ商品のパッケージには「ナチュラルチーズ」とか「プロセスチーズ」とか書いてある。 プロセスチーズはいろんなチーズが混ざっていて、ナチュラルチーズはそうでも…

脳内日記 其の二十一。

最近家の中で手足をよくぶつけるようになった。 空間把握が鈍ってきたのだろうか。 まあ家自体が狭いのでぶつけるにはうってつけではある。 それにしてもよくぶつける。 手ならば指先や第一関節。 そして肘や膝も。 時々頭も。 何か対策はないかと思案してい…

脳内日記 其の二十。

いつものように湯船にお湯を入れていた。 しばらくしてピピピピとお湯がたまったお知らせの音がした。 お風呂場の戸を開けると、大きな黄色いプラスティックのアヒルちゃんがちゃぽんと湯船に浸かっていた。 「あ、お風呂いただいてまーす」 「え、あ、まぁ……

脳内日記 其の十九。

小人が訪ねてくるようになってかれこれひと月になる。 夕方の5時半に来て9時前には帰って行く。 まるで愛人宅を訪れるかのような流儀である。 今日も時計が5時半になるとドアの下の方をコンコンと叩く音がした。 小人だからドアチャイムは高くて届かない…

脳内日記 其の十八。

朝8時に起きた。 今日は半年に一度開いている演奏会の日だ。 大学の時の同期とふたりで開催している。 今回で八回目。 どんな演奏になるかな…と思っていると「今日は行かないほうがいい」という声にならぬ声を聞いた気がした。 空耳かと思った。 しかしメッ…

脳内日記 其の十七。

伊勢丹のセールでクロコダイルのバッグを買った。 妙に安くなっていた。 バーゲン品なので返品不可。 クロコダイル、ということはワニの皮だ。 いうまでもない。 押入れに入れてある他の鞄類と一緒にクロコダイルも保管しておいた。 毎晩寝る前に磨いたり眺…

脳内日記 其の十六。

霧雨の夜。 てらてらした舗道を街灯が照らし出す。 無性に歩きたくなった。 どこまでも、どこまでも。 昨日割れてしまった風鈴がちりちり、ちりちりと鳴っている。 ああ、よかった。 ここでは割れていないんだ。 舗道に誰かが大の字で仰向けになっている。 …

脳内日記 其の十五。

昔買った小説を読み返しているとこんな場面が出てきた。 主人公は画家。 創作に行き詰まり、長い苦悩の末に師匠のところへ相談に行く。 訪ねてきた弟子に師匠が静かに語りかける。 「焦ることはない。昔からいうじゃないか、『止まない雨はない』って」 止ま…

脳内日記 其の十四。

梅雨時は気怠く眠い。 全身全霊で湿気を吸ってしまうのだろうか。 まあこの気分も今やこの時期の風物詩となっている。 今日、府中から電車に乗った。 ふと睡魔がやってきた。 しばし微睡む。 ぱっと目を開けたら、前のシートに座っている人たちが全員入れ替…

脳内日記 其の十三。

このところ夏が半端なく暑くなっている。 うかうかしていると淘汰されてしまいそうだ。 ホームセンターに行った。 猛暑対策関連グッズのコーナーが大々的に展開されていた。 いろんなグッズがある。 冷感枕、冷感枕カバー、冷感掛け布団、冷感掛け布団カバー…

脳内日記 其の十二。

ピッコロちゃんがわが家に来てから5年が経つ。 ピッコロちゃんはセキセイインコだ。 「この子はジャンボセキセイの血が入っているんです」 ピッコロちゃんをお迎えしたペットショップの店員さんが言っていた。 ジャンボセキセイは通常のセキセイインコのひ…

脳内日記 その十一。

結婚して3年くらいになるだろうか。 母を筆頭に周囲の反対を押し切って決めた結婚だった。 そんなわけで式など華やかなお披露目は一切していない。 結婚のために実家の部屋を改装した。 防音室にしたのだ。 私たち二人の営みはとかく音が大きい。 六畳の和…

脳内日記 その十。

その昔、ヒトは大変だったらしい。 「けが」というものをしたり「びょうき」というものになったりしてそれはそれは苦しんで死んだり、また「ふりょのじこ」というもので死んだりしていたらしい。しかもその死んだ体がそのまま残っていたという。 またその頃…

脳内日記 その九。

これまで毎日着替るものといえば洋服や下着だけだった。 スマホの「おすすめアプリ」で『ヴォイスパレット』というのを見つけた。 「声だって毎日着替えたい♡」というお客様からのご要望にお応えして開発されたアプリらしい。 さっそくダウンロードした。 1.…

脳内日記 その八。

いつものようにお風呂の中で頭皮を両手でコニョコニョ動かしていた。 左手に違和感があった。 側頭部よりやや上のあたりがいつもより凹んでいる感じがした。 バスタブから出て浴室内の姿見でそのあたりを調べてみた。 するとつるんとした部分がちらっと見え…

脳内日記 その七。

こんなに暑いのに暦は立秋。 なるほど夜には虫の声に秋の気配が宿るようになった。 時は過ぎて世界は回る。いや、時は過ぎるのではなく砂時計のように積もって重なっているのだとも言われている。 まあいずれにしてもどうもこのところなんだかつまらないなぁ…